オスカー何個取るかと言われている映画ですが、発表前にということで見ました。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
話題作は、公開週は避けるんですが、今回は、そんなこと言ってられない。
【ストーリー】
1918年、ニューオーリンズ。ある一組のカップルの間に男の子が産まれる。しかし、その赤ん坊は80歳の老人と見まがうほど奇異な容貌をしていた。ショックを受けた男は困り果てた末、赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまう。そして、施設を営む黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、献身的に育てられるのだった。成長するにつれ髪が増え、皺が減り、車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくベンジャミン。やがて少年期を迎えた彼はある日、施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会う。それは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性との運命の出逢いだった…。
「
All Cinema」より引用
参考サイト
excite映画 (
該当ページ)
trackback from
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」よく出来た、大人のおとぎ話。
by
シネマ親父の“日々是妄言”
相変わらず、ネタバレ気にせず記事をあげちゃいます。
なので、下まで、気になるかたは、ずーっと見ないでください。
時系列に関係なく、方々trackback することをご容赦ください。
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
【解説】
1920年代にF・スコット・フィッツジェラルドが執筆した、80代で生まれ、そこから若返っていくひとりの男の姿を描いた短編の映画化作品。普通の人々と同じく彼にも時の流れを止めることはできない。ニューオーリンズを舞台に、1918年の第一次世界大戦から21世紀に至るまでの、ベンジャミンの誰とも違う人生の旅路を描く。
主人公、ベンジャミンが触れ合う人々や場所、愛する人との出会いと別れ、人生の喜び、死の悲しみ、そして時を超えて続くものを描きあげた、一生に一本、心に残る愛の詰まった感動巨編。出演はブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン。監督は時代を代表する監督のひとりになったデビッド・フィンチャー。(作品資料より)
「
goo映画(
タイトルトップ)」より引用。
「セブン」「ファイト・クラブ」に続いて3度目のコンビを組んだデヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演で贈る感動ヒューマン・ファンタジー大作。『グレート・ギャツビー』で知られる小説家F・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に著わした短編を基に、80歳の老体で生まれ、年を取るごとに若返っていく男の波瀾に富んだ人生の旅路が、激動のアメリカ現代史を背景に、最新のCG技術を駆使した驚異の映像で描かれてゆく。共演は「バベル」のケイト・ブランシェット。
「
All Cinema」より引用
【感想】(ここでは、ネタバレはぼかします)
2時間45分、それこそ、ベンジャミン・バトンとディジーをみんなで見守ったような映画でした。
いや、後半、もう少し長くてもいいかな?とも思いました。
ちょっと、入院中のデイジーに回想録を聞かせながら、という設定は異論あるでしょうが、でも、どうしても、娘に説明したい気持ち、わかります。
「特別な人」などいない、それぞれにとって人生は特別なものだし、永遠はあるんですね、それは「愛」でしょうか。
ベンジャミンとデイジーの二人は、それこそ、デイジーが死ぬまで、いや死んでからも二人の愛情を育み続けたように思います。
この映画は、エリック・ロスの原案、脚本とデヴィッド・フィンチャーの演出があって、深く、静かに感動をもたらせてくれました。
特に、エリック・ロスといえば、「フォレスト・ガンプ」のシーンを思い出させるようなファンタジーたっぷりの映像もあります。
人生は、それぞれ別の道があるのだけど、ゴールは同じだし、生まれたときと死ぬときは、一人で裸で死んでいくということで、それこそ、人生に、死については、深いぃ言葉がたくさん出てきましたし、それぞれが深みを持ってます。
自分のこれまでの人生でもいろいろ出会った人を思い出したりして、しんみりしたり。
あと、後半、二人が別れ、運命的に再会するのですが、予想されていてもその衝撃的な瞬間は、やっぱり驚きです。
最後、ディジーはやっぱり幸せだったと思うんですね。
あ、ベンジャミンもそうなんでしょう。
出会って、喧嘩したり、別れたときもあり、つらいこともあったのでしょうが、でも二人の心はつながっていたんだと思います。
そう、ベンジャミンが育ったあの老人ホームを鎹に。
でも、それで幸せだったと十分思わせていただきました。
【私の採点】(採点のあとは、思いっきりネタバレしますので(ぇ))
★★★★★
(満点10点 ★:2点。☆:1点)
褒め過ぎかもしれませんが、正直満点で異論なしです。
退屈な時間はなかったです。
ほんとにベンジャミンの気持ちで過ごせました。
時々の俳優さんがいいですよ。
自分の中では、マイク船長の生き様かな。
あの最後のシーンの「はらわた煮えかえるくらい・・・(中略)お迎えが来たらいかなきゃ」っていう台詞は、死と直面した場合の覚悟を端的に表してると思います。
次は、ロシアでであう、彼にとって「最初の女」エリザベス。
外交官(実は諜報部員)の妻である彼女が、ベンジャミンのその不思議なたたずまいに徐々に心を開いていくのはとても素敵です。
さすがは、ティルダ・スウィントンといった、抑え目ででも色気もあるし、実は、自分をもっと出したいという女性を見事に演じてました。
あと、ブラッド・ピットはもちろんだけど、ケイト・ブランシェットの感情の上げ下げのある演技、もう、オスカー常連はっていうのもわかるような存在感でした。
笑っちゃうのは、彼が最初の女といたすところだろうか。
あのおじいさんのメイクで「も、もう一回いい?」って。
それから、とてもシンボリックなシーンがたくさん出てきます。
アイテムだけあげると、「紅茶」「刺青」「浮き輪」「ハチドリ」「靴」「水泳」「雷」・・・。
そして「時計」です。
「逆回転時計」の話が、最後までこころに残ってます。
反対に議論になりそうなのは、本当の父親とベンジャミンの関係だろうか。
最後、父親は死を悟ったときに告白し、遺産を譲ろうというのだけど、そこの描き方はさらっとしている。これは、エリック・ロス得意な描き方なのかな。
でも、彼としては、老人が入ってきて、しばらくしては死んでいくという環境にそだったことで、その受け入れについては、許容できているのかもしれないし、それは、マイク船長との出会いから別れ(実際は別のことだと思うけど)で学んだと思って、一人納得してしまいました。
そう、父親に遺産相続をするときに連れてこられる海岸というか船着き場での朝焼けのシーン、あそこで、トーンを落として、ベンジャミンのありったけの言葉で父親に人生を諭すシーン。
この朝焼けのシーンも子供の頃と、その後デイジーとくるシーンでいい役割を果たしています。
また、この映画の舞台は、ニューオリンズだったわけで、奇しくもハリケーン・カトリーナが撮影開始前に来たりして、余計にこの映画の神秘性は増したと思うし、そのおかげで、デイジーの死までの数時間がとても印象的に感じました。
それこそ、数奇な映画でしょうか。
そして、タイトルの映画会社のクレジットも凝ってますね。
ボタンのバトン社ですからね。とてもきれいでした。
最後に、たぶん、学生時代なら、長いだけの映画だったかもしませんが、ある程度人生で出会いと別れを経験した人ならわかるんじゃないでしょうか。
それくらいにいい映画でした。
自分ならオスカーこれで決まりにしちゃうかも。
【製作メモ】 from
All Cinema ONLINE
原 題 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
メディア 映画
上映時間 167分
製 作 国 2008年 アメリカ(ワーナーブラザーズ/パラマウント)
公開情報 劇場公開(ワーナー)
初公開年月 2009/02/07
ジャンル ドラマ/ミステリー/ファンタジー
映 倫 -
《公開時コピー》
80歳で生まれ、若返っていく
数奇な人生を生きた、ある男の物語
監 督 : デヴィッド・フィンチャー
製 作 : キャスリーン・ケネディ
フランク・マーシャル
セアン・チャフィン
原 作 : F・スコット・フィッツジェラルド
原 案 : エリック・ロス
ロビン・スウィコード
脚 本 : エリック・ロス
撮 影 : クラウディオ・ミランダ
プロダクションデザイン:
ドナルド・グレアム・バート
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
編 集 : カーク・バクスター
アンガス・ウォール
音 楽 : アレクサンドル・デスプラ
出 演 : ブラッド・ピット ベンジャミン・バトン
ケイト・ブランシェット デイジー
ティルダ・スウィントン エリザベス・アボット
ジェイソン・フレミング トーマス・バトン
イライアス・コティーズ ガトー
ジュリア・オーモンド キャロライン
エル・ファニング デイジー(7歳)
タラジ・P・ヘンソン クイニー
フォーン・A・チェンバーズ ドロシー・ベイカー
ジョーアンナ・セイラー キャロライン・ボタン
マハーシャラルハズバズ・アリ
ジャレッド・ハリス
デヴィッド・ジェンセン
テッド・マンソン
トム・エヴェレット
※写真関係はあとで追記します。
※項目で、実の父親とベンジャミンの関係について追記しました。
※クロエさんのコメントから、いくつか、思い出したので、書き起こしました。