高1用に「発展的な学習の内容」初登場 教科書検定 (asahi.com)
高校教科書、来春から至れり尽くせり (asahi.com)
来年度の教科書検定の審査が終わったそうです。
「発展」という形での現行学習指導要領にある内容削減からの復活事項や、書き込みできるノート式教科書というのも興味を引きましたが、いつも考えるのは、”教科書通り”で、果たして教育が向上するのかということ。
それでなくても覚えることは多く、また、情報過多になるくらいの有象無象の情報が飛び交うゲンダイですから、それこそ、人とは違った考え方を高校までに形成されている可能性も高いと思います。
ないので気になるのは、やはり、「情報リテラシー」の教育を用い、それこそ、自分で興味を広げてゆける内容にした方がいいのでは?と思います。
DNAやイオンは、学校で教わらなくてもいずれ、医者と自分の身体について話すときなどに必要なんですよね。
個人的には、集団学習でしか身に付かない内容と、副読本の充実が一番だと思ったのですけどね。
高1用に「発展的な学習の内容」初登場 教科書検定
2006年03月29日20時25分
文部科学省は29日、05年度の教科書検定の結果を発表した。対象は主に高校1年生が来年4月から使う教科書で、普通教科10教科で申請された288点と、農業など専門教科の18点すべてが合格した。高校低学年用としては、初めて学習指導要領の範囲を超える「発展的な学習の内容」が盛り込まれた。社会科では、イラクへの自衛隊派遣や小泉首相の靖国神社参拝をめぐる判決などに、政府見解に沿う記述を求める意見が目立った。新しい試みとして、ノートを取らない生徒向けに「書き込み式」の教科書が登場した。
「発展」は02年度検定の高校中学年用から認められ、これで小・中・高すべての教科書に盛り込まれることになる。高校の場合、その分量は2割程度まで許されるが、最も多い理科でも全体のページ数のうち4.3%、数学で1.8%だった。
学習内容を「3割削減」した現行学習指導要領の実施に伴って削られた項目の多くが今回の「発展」で復活した。ただ、中学校では学ばないことになった生物の「進化」や数学の「統計」は、それぞれ生物Iと、数学Iの中では「発展」としても取り上げられなかった。科目の選択次第では、進化と統計を学ばない生徒も出る。
地理・歴史と公民の社会科では、4年前の検定以降にあった社会問題として、イラク戦争や自衛隊派遣、小泉首相の靖国神社参拝をめぐる判決などが新たに盛り込まれた。だが、大半に検定意見がついて申請通りの記述が認められなかった。
自衛隊派遣については、「人道復興支援活動のため」という政府の立場に沿った記述以外は認められなかった。また、「小泉首相の靖国神社参拝に福岡地裁が違憲判断」と記述した教科書には、この記述だと「国が勝訴した判決だったことが理解できない」との理由で検定意見がついた。首相としての参拝だったため、「公式参拝」と表記した教科書も政府見解に照らして認められなかった。
一方、領土をめぐる問題が中国・韓国との間で外交上の焦点となっている情勢を受け、尖閣諸島や竹島の問題を記述する教科書が前回よりも増えた。
「書き込み式」の教科書は国語に登場した。教科書会社は、ノートを持たない生徒にも配慮したと説明している。
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〈キーワード:発展的な学習の内容〉 「ゆとり教育」の一環として学習内容を3割削減したことに不安が高まり、02年8月の検定基準改定で認められるようになった。本文と区別した形で掲載し、学習指導要領に示されていない内容だと明記することが求められる。
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高校教科書、来春から至れり尽くせり
2006年03月30日06時20分
ノートを取ろうとしない生徒には、書き込み式教科書を。教科書を開くことをしない場合は、漫画を載せて注意を引いてみる。来春から使われる高校教科書に、勉強嫌いの生徒を意識した教科書が登場する。進学校向けには、その学年を超えた学習内容が盛り込まれる教科書も少なくない。「学力の二極化は、もう止まらない」との声が教科書会社から出ている。
「書き込み式」を出したのは、桐原書店で、これまでは上・中級レベルの国語教科書を出していた。従来よりも大きいB5判サイズ。本文のすぐ下が書き込み用になっている。
「文脈を追う」というテーマでは、劇作家如月小春さんの「輝きを見つめて」というエッセーを載せている。書き込み部分には「□に本文中の語句を入れ、本文の内容をまとめてみよう」という質問。続いて、「私はお年寄りの話を聞くのが□□なのだ」というくだりがあり、「好き」などの語を本文から探して、埋めていく。
別のテーマでも、宮本輝さんの小説「途中下車」の下に、「□に適当な語句を入れ、『私』と友人の行動と心理を読み取ろう」という質問があり、「私たちの心をさんざん□□□」などに「乱した」などと入れる。
「自由に考えなさいと言っても、分からない生徒がいる。本文に答えがあるから、探して埋める作業をさせ、『参加した』と感じてもらえればいい。先生の負担も軽減できれば」と、同社編集局国語部の廣井尚子副編集長は説明する。
編集と監修には、教育困難校に勤める現役の高校教師ら7人があたった。同社の編集者らも困難校を延べ50校ほど回った。
授業中、携帯電話でメールを打ったり、化粧をしたり、教師の話を聞かない。何度も練習したはずの漢字がテストで書けない。答案用紙には、『単位ちょうだい』と書き込みがしてある。
「生徒がノートを取らないなら、教科書をノート代わりにしたらどうか」という意見が編集会議で出た。穴埋め式は問題集にもなる。教科書1冊で完結させようというアイデアだった。
「書き込みスペース」を新設したのは、三省堂もだ。
評論文や小説の後に「学びの道しるべ」と題し、「空欄を本文中の語句で補おう」と書き込む形にした。哲学者、佐藤信夫さんの評論「コインは円形か」の後には、「わたしたちは、ふだんコインを□□と見なしている」に、「丸い」などを入れていく。
国語教科書編集部の高橋正積編集長は「以前は中間レベルに向けて教科書を作ればよかったが、今は、上と下のふたこぶになっている」と説明する。
◇進学校向き、高レベル版
数学では難易度の格差が広がる。啓林館の数学Iの教科書にはこんな趣旨の記述がある。「箱代が200円。1個100円の菓子を2000円以内で何個まで詰められるか(答えは18個以内)」
この問いで不等式の意味を理解させるなど中身を簡単にしたほか、方程式と不等式を漫画で説明したり、会話形式で解き方を示したりする。「苦手な子も開いてくれる教科書にしたかった」と編集者は言う。
一方、「今回は、教科書のレベルを上げるための改訂だ」と話すのは数学Iと同Aでシェア1位の数研出版。出した6点中4点は、いずれも進学校中心の教科書で、大学入試でよく問われる応用的な問いを増やした。その中には、絶対値記号を含む方程式など従来は参考書レベルにしか掲載されていないものもある。
「私立の生き残り競争に中高一貫校や公立も加わり、難しい教科書が望まれる状況がある。現状に物足りない学校が納得できるものを」
◇ニート対策、求人票指南
「求人票は会社選びの第一歩。重要な情報が満載です」。来春、高校生が使う社会科の教科書に、ニート対策の一環として見開き2ページで詳細に高卒用求人票を説明した記述が登場した。「有給休暇」や「基本給」という用語を説明し、応募するときの注意点も詳しく紹介した。
帝国書院の「高校生の新現代社会」。基本給については「1か月の給料」、有給休暇については「給料を減らされないでとれる休暇。労働基準法で、入社後6か月から年に10日以上保障されている」と詳しい。
求人票の見方の項目では、「賃金」を「実際に受け取る給料は、手取額。この欄を確認することが重要」と説明している。
※写真:「書き込み式」の国語教科書(2点)と、漫画で方程式と不等式について学ぶ数学教科書
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