庶民の味守り92年 歴史に幕 新開地の「びっくりうどん」
昨年初秋の
この記事 で紹介した、うどんのお店「びっくりうどん」が、92年の営業に幕を下ろしたというのを、先程、とあるコミュニティで知った。
震災のときも、現地にいって呆然としたのですが、元気に頑張ってきてました。
昨年夏、父の一周忌に、ふと、立ち寄ったのが最後でした。
で、ここ安いだけでなく美味しかったんですよね。
後継者、確かこのお二人には娘さんだけだったような気もしましたね。
ご主人と奥さんには、お疲れ様、ありがとう とただただ言いたいです。
庶民の味守り92年 歴史に幕 新開地の「びっくりうどん」 2006/05/12
娯楽の街・新開地の老舗うどん店「びっくりうどん」(兵庫区水木通一)が、店主の高齢化と後継ぎ不在のため九十二年の歴史に幕を閉じた。あっさりした庶民的な味や、飾らない店の雰囲気が、映画や芝居を見に来た人らに親しまれてきた。最後の営業日となった十一日も、閉店を惜しむなじみの客が続々と訪れ、“最後の一杯”を味わった。(佐藤健介)
びっくりうどんは一九一四(大正三)年、劇場「聚楽館」の横に創業。利尻コンブやウルメ、サバなどから丁寧にとった関西風のだし、コシと歯ごたえのある太めんが手ごろな値段で味わえることから、地元住民や娯楽を求めて新開地を訪れた客の人気を集めてきた。
戦災を乗り越えたが、阪神・淡路大震災では店舗が半壊。製めんの機械が壊れ、水道やガスも寸断。一時は廃業も覚悟したが、常連客らの励ましもあり、約四カ月後に再オープンした。
だが、四代目店主の阿部忠志さん(65)の体力が次第に衰える。毎朝七時から調理場に入るが、立ったままめんを湯がく作業が腰にこたえるようになった。後継ぎもおらず、昨年秋に店をたたむ決意をした。
十一日は最後の営業日。昔なじみの客が阿部さんや店員に「今までありがとう」「元気でな」「締めくくりやな、頑張れよ」と声をかける。普段の二倍仕込んだうどんは、名残を惜しむ間もなく閉店時間の一時間半前までに売り切れた。
五十年来の常連という同区内の男性(74)は、大きな油揚げが二枚入った人気のきつねうどんを注文。「気軽に話せるざっくばらんな雰囲気が大好きだった。これが最後のうどんか。さびしいな」
「一週間ほど前からなじみのお客さんが次々に訪れてくれて、涙が出そうだった」と妻の綾子さん(58)。阿部さんは「力いっぱいやってきて肩の荷が下りたという感じ。今は、支えてくれた人たちに『ありがとう』という言葉しか浮かばない」としみじみ話した。
写真:「これが最後のうどんやな」。なじみの客に注文の品を出す阿部さん夫婦=兵庫区水木通1
( 神戸新聞web news 地域版 神戸 )