公開週に観るのは久々ですか。
『パンズ・ラビリンス』
アカデミーを取ったこともあり、気になってましたが、ようやく公開です。
【ストーリー】
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。
「
goo映画」より引用
参考サイト
excite映画 (
該当ページ)
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相変わらず、ネタバレ気にせず記事をあげちゃいます。なので、下まで、気になるかたは、ずーっと見ないでください。
時系列に関係なく、方々trackback することをご容赦ください。
【解説】
少女は生き延びるために迷宮の世界へ降りて行った。そうしなくてはならないほど現実の世界は残酷だったから。第79回アカデミー賞で撮影・美術・メイクアップの3部門に輝いたのをはじめ、世界各地で絶賛された本作は、『ヘルボーイ』の監督ギレルモ・デル・トロが卓越したイマジネーションと映像センスを駆使して生み出したダークでビターなファンタジーだ。恐怖で支配し、殺し合いに血道を上げる過ちを何度でも繰り返してきた人間社会の本質的な愚かさと、厳しい試練に果敢に挑むヒロインの冒険譚を見事に融合させている。オフェリアそのもののイバナ・バケロの健気さ、ビダルを演じたセルジ・ロペスの恐ろしさも絶品。
「
goo映画(
タイトルトップ)」より引用。
【感想】
2時間ずっと、半身で見てました。
そう、とある映画館で、半身で目をふさぎながら見ていたのは私です(爆)。
怖い、怖い。
で、怖いのは、ファンタジーの世界ではなく、リアルな世界。
アクションシーンもどっちかというとドンパチやってるほうが怖かったかな。
物語は、オフェリアと母カルメンが軍の車で山にむかうところから始まる。
そこで、まず、オフェリアは、パンとの第一のつながりをもってしまう。
そして、新しい父、ビダル大尉との出会い。
使用人、メルセデスも最初は、嫌いだったオフェリアが、彼女が医者と一緒にレジスタンスに協力していることを知ったころからメルセデスに心を許すようになる。
そして、妖精?の導きで牧神にであう。牧神からの3つの試練を忠実に守っていこうとするオフェリアだけど、ちょっと油断があると、あっさり牧神は、気まぐれを起こしてしまうのが、まずは、怖い。
ちょっと待ってよ、そんな残酷な。。。
でも、容赦ない仕打ちがオフェリアを襲う。
さらに、ビダル大尉のそれこそ残酷さ。
自分の分身第一、自分本位の固まりなキャラクターもまあすごいのですが、やる、と思ったら、ズドーンですからね。
もう、これでもかというむごさ。
しかもあれだけ痛めつけられての自分の体のケアには、びっくり。
麻酔がない時代だったといわれてますが、自分はできるか?
できません(汗)。
まあ、これくらいできないと、この時代は上には立てなかったのかな。
しかも町の人(使用人)たちは、びっくりするくらいクール。
みんなお見通しだったかもしれないが、その中で、自分たちはあたらず触らず生きていくって感じもすごかったです。
考えてみれば、軍とレジスタンスのほうが純粋かもしれない(ええっ)。
最後のオチもオフェリアが、最後の試練を断ったら、さあどうぞ、はないでしょう。
そして、ビダル大尉の願いに対するメルセデスたちレジスタンスの答えもまあ、厳しい。
これで終わったら・・・ むなしすぎますね。
でも事実なんでしょう。
そんな残酷な物語の最後にちょっとだけほっとする瞬間があります。
この物語のポイントは、
「お伽話をずっと信じるのではなく、
お伽話の主人公のような生き方をするのが
もっとも清らかで人間らしい」
なんってのはどうだろう。
観終わった後、しばらく呆然としながら、このポイントを考えていた自分でした。
【私の採点】
★★★★☆
(満点10点 ★:2点。☆:1点)
ということで、ハリウッドやディズニーのファンタジーでは”ありえなーい”結末とその結末に対して無理がない点、魅せる所は綺麗に魅せている点に参りました。
あと2回見たら、新たな発見がありそうです。
で、まあ、高得点(笑)。
パンフレットには、それこそ、スタジオジブリの実写版とでも言いたげなコラムが満載でしたが、自分も納得。
オフェリアの彼女は、まじにカルピス名作劇場の世界(笑)。
下着にはなるけど、パンツは見せないところなんてそうですよね。
そして、昔の貴族っぽい衣装もキてます。
ファンタジー側のキャラクターもまあ、お笑い満載。
宮崎駿だけでなく、水木しげるも入ってるぞって感じですね。
最初は、ナナフシからはじまり、パン、巨大ガエル、ペイルマン、マンドラゴラの根。
ペイルマンの手目玉の動きやカエルなんて、「千と千尋だぁ」って思ったり。
マンドラゴラは、目玉おやじっぽいし・・・。
でも、一番は、ビダル大尉でしょう(笑)。
なんどか髭剃りのシーンがでてくるところは、繰り返しの笑いの手法があるし、ちょっと間抜けなところもあったり、それでも、おれは一番だぁっていうのがよーく出てますね。
これこそ、「怪物」ですね。
それから、メルセデスにさされた後のあの行動。
こいつは、エイリアンか。
それと思ったのは、お産の大変さ。
ここでは、自分の仕事場(戦場)で産ませようとした大尉のわがままに振り回され、悲しいことになります。
それこそ、女性を「産む機械」としてしか考えてない。そんな気持ちにもなります。
女の子を殺しても男の子はって考え、ある人に言わせれば怒りますね(汗)。
でも、染色体の”突然変異”である男の子って大事だったんですね。
ストーリーは、いまから考えてみるといわゆる戦争ものとロールプレーイングゲームの世界がミックスされた感じです。
それが、表裏一体というわけでなく、時々交わり、それが、いろいろな混乱を招くんです。
なので、そうやって観ることができる世代には、どぉってことないかもしれないでしょうね。
しっかり、撮れてる感じも満載。
といいつつも、こんな展開は、ハリウッドの王道ファンタジーにはないです。
アカデミーの外国作品賞を取れなかったのは、本当は、あのフランコ政権時代を題材にした狂気とそんな中では、けなげさはかなり犠牲になるってことなんだけど、それをああ表現したことが、受け入れられなかったかな。
そんなデル・トロさん、今後も気になりますね。
【製作メモ】 from
All Cinema ONLINE
原 題 EL LABERINTO DEL FAUNO
PAN'S LABYRINTH
上映時間 119分
製 作 国 2006年 メキシコ/スペイン/アメリカ(CKエンタテインメント)
公開情報 アミューズ/CKエンタテインメント
初公開年月 2007/10/06
ジャンル ファンタジー/ドラマ/ホラー
PG-12
《公開時コピー》
だから少女は幻想の国で、
永遠の幸せを探した。
監 督 :ギレルモ・デル・トロ
製 作 :アルフォンソ・キュアロン
ベルサ・ナヴァロ
ギレルモ・デル・トロ
フリーダ・トレスブランコ
アルバロ・アウグスティン
製作総指揮:ベレン・アティエンサ
エレナ・マンリケ
脚 本 :ギレルモ・デル・トロ
撮 影 :ギレルモ・ナヴァロ
プロダクションデザイン:
エウヘニオ・カバイェーロ
衣装デザイン:ララ・ウエテ
編 集 :ベルナ・ビラプラーナ
音 楽 :ハビエル・ナバレテ
出 演 :イバナ・バケロ オフェリア
セルジ・ロペス ビダル
マリベル・ベルドゥ メルセデス
ダグ・ジョーンズ パン/ペイルマン
アリアドナ・ヒル カルメン
アレックス・アングロ
エウセビオ・ラサロ
パコ・ビダル
フェデリコ・ルッピ