今月は、アカデミー/ゴールデングローブ関係の作品が結構見られる月になりました。
で、今日は、これ。
『愛を読むひと』
ケイト・ウィンスレッドの熱演が知られますが・・・。
【ストーリー】
1958年のドイツ。15歳のマイケルは21歳年上のハンナとの初めての情事にのめり込む。ハンナの部屋に足繁く通い、請われるままに始めた本の朗読によって、2人の時間はいっそう濃密なものになるが、ある日、ハンナは忽然と姿を消す。1966年、大学で法律を学ぶマイケルは傍聴した法廷の被告席にハンナを見つける。裁判に通ううちに彼女が必死に隠し通してきた秘密にようやく気づき、衝撃を受けるのだった。
「
goo映画」より引用。
参考サイト
excite映画 (
該当ページ)
映画生活(
該当ページ)
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相変わらず、ネタバレ気にせず記事をあげちゃいます。
なので、下まで、気になるかたは、ずーっと見ないでください。
時系列に関係なく、方々trackback することをご容赦ください。
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【解説】
与えられた職務を全うした1人の女性。決して許されない罪を犯したのだとしても、彼女は彼女のなすべきことをしたのだ。本作の主題はホロコーストの追及や、禁断の愛を描くことではない。そのとき、もしハンナあるいはマイケルの立場だったら何が出来たかを、観る者ひとりひとりに問う人間性についての映画なのだ。原作はベルンハルト・シュリンクの世界的ベストセラー「朗読者」。念願のアカデミー賞主演女優賞に輝いたケイト・ウインスレットによって、弁解を一切しない孤高の女性ハンナの人物像が小説よりも明確に浮かび上がる。相手役の新人デヴィッド・クロスも好演。監督は『リトル・ダンサー』の名匠スティーヴン・ダルドリー。
「goo映画(タイトルトップ)」より引用。
【感想】(ここでは、ネタバレはぼかします)
ケイト・ウィンスレットがオスカーを主演で取ったという体当たりの演技が話題になってますが、それにつけても、衝撃的な後半も含め、いい映画と言うべきでしょう。
確かに、前半は、「青い経験(フル)」的な、ちょっと訳ありげでそれでも凛として仕事をしているOLさんともうこれから伸びるつくしんぼのような青年のラブストーリーであり、まあ、make love の手ほどきをするので、そんな(どんな?)映画かと思ってみてるのですが、マイケル・バーグ(ドイツ語だとミハエル・ベルグなんだろか)が大学で法学を学びその実習でホロコーストのSS女性親衛隊への弾劾裁判を見るあたりから、その様子が変わってきます。
彼女にあった秘密、彼女が結婚をしていない理由、さらに、前半のもう濃厚なラブシーンの間になぜ、彼は彼女に本を読ましていたか・・・。そして、彼女がなぜ忽然と姿を消したか・・・。
それが分かってから、彼がした行動。それが、冒頭の現在のマイケル・バーグにつながっていくのだと思いました。
ただ、この映画は、ハンナやマイケルに単純には同情できず、かといって、マイケルの元妻イラナ・メイザーがある種かわいそうかなって思ったりしました。それくらい、複雑であり、数年間の戦争の間だけでなく、多くの人に影響を及ぼすことであることがひしひしと伝わってきました。
原作とは味付けが違い、「朗読者」を読むのとは感じ方が変わりましたが、それはそれで、単純な戦争に左右された市井の人々という描き方でなく、それこそ、裁判のシーンやその後のハンナの行動に見られるように、そのときは、自分は職務を全うしているし、他の被告人については、やっぱり死にたくないといった部分がかぶり、なんというか往生際の悪さも感じたりするし、また、そのときにアウシュビッツで生き残ったユダヤ人の今を知ると、ちょっとむかついたりする自分があったり。
単純にいけないことなんだけど、それは、自分に返すことであって、人はやっぱり裁いてはいけないのかなぁ、とまで思いながら見終えました。
マイケルが最後までハンナに本を読み続けた意味もいろいろとれるでしょうが、多くの方が感じてるでしょうが、単純にハンナへの愛情とか御礼とかっていうことでなく、彼女が投獄されるまでの間にマイケルが感じたこと全てからくることなんだろうというのが、自分の感想です。
とてもショッキングでしたが、いい映画でした。
【私の採点】(採点のあとは、思いっきりネタバレしますので(ぇ))
★★★★☆
(満点10点 ★:2点。☆:1点)
ええぃ、9点あげちゃいます。
最後は、やっぱりか・・・という気持ちになりますし、なんか心にわだかまりを残してしまった状態で映画館をでました。
なぜか。自分が理解しきれなかったのは、出所が決まって、ハンナに面接するときのマイケルの態度なんでしょうか。全てにおいて、自己の意思を通し、嘆願もせず生きてきたハンナに対して、なにか言葉をかけるべきだったのか。 優しい言葉をかけられたはずなのに。 ハンナはさすがにそれを求めていたのかもしれないと思ったのだけれど、マイケルはある種冷静に対応していた。
これまで、出会ってから彼がしてきたことは献身的な事だったのではないだろうか。「愛は盲目」と言いますが、それくらい、彼自身は、自分の人生を若干曲げてでもそれをしてきたんだけど、会った瞬間、そう感じなかった、そして、やっぱり気持ちの中で自問したのだろうのが、彼女が過ごした、アウシュビッツ、偶然だけれど訪れていた教会、そして、彼女がその人生の後半を過ごしてしまった独房。これらを見ている内に感じることがあったのだとは思う。そして、彼女としての人生を選択させたのかもしれない。
それが彼の優しさだったのかもしれない。
こんなことを思いました。
映画の中では、ハンナは、威厳のようなものをもって生きていたように感じました。それは、ハンディキャップとも言える自分のネガティブな点を隠したからなのか、それとも生まれたときから親に、世間にしつけられたことなのか。 その威厳が、SSでは開花し、また、戦後働いた時も評価されたのだろうけど、その後、そのハンデが故に不整合がでて、彼女は方向転換を何度もしていたのかもしれない。 その点、マイケルと出会ったときの優しさが彼女の根底にはあったのだというのが分かります。そして、マイケルは、彼女の尊厳を守ったわけで、この選択はよかったのかも知れない。
彼は、同情や感謝だけで本を読み続けた訳ではなかったのだろう。
映画的には、アンソニー・ミンゲラ とか シドニー・ポラックが製作にクレジットされてたり、いろいろ映画化までにはごたごたもあったらしいのですが、 スティーヴン・ダルドリー 監督は、いわゆる、「甘酸っぱい初恋」や「男女の時代を超えた愛」という側面をちら見せしながらも、時代に翻弄されながら、自分を持ち続けた女性、その女性にある種翻弄されてしまったが、その人生を認めて生きている男性を描いていたと思います。
そりゃぁ、悪いことなんですけど、単純なホロコースト、ナチの狭間の悲劇、というだけでなく、人間の人生の尊厳、生きるためのぎりぎりでの選択で人はどう動くか、とても考えさせられました。
そして、残念ながら、告発したユダヤの母子、子供がハンナの死後マイケルと会いますが、なんだろう、言ってることは正しいのだけど、ちょっとハンナやマイケルに同情している自分がいました。
そりゃぁ、もう思い出したくもないし、ゲルマンの人に促されるのも嫌なのもわかるんですが、でもあの豪邸。本が売れたんだろうなぁ、とまでうがってしまいました(汗)。
と書いてますが、前半、まあ、 make love のシーンのそのすごさ、うーん、自分のあまずっぱい頃を考えると、これだけやったら、そりゃぁ、猿になるますよ(爆)。っていう感じですね。
出会った当時は、15歳と36歳だったっけ。自分はどうだったかなぁ、親ですよねぇ。いまなら(ぇ)あるかもしれませんが・・・。
ちょっともやっとしたものがのこった(ダメ)でした。
ケイト・ウィンスレットは、この撮影時は、たぶん、31か2だと思うのですが、その「大人」「当時のキャリアウーマン」を体当たりで演じたように思います。ちょっと体型的には、つらい(あのね!)ところもありましたが、それもその年代というか2人子供産んでるし(ダメ)。
それ以外に表情も色気もあったなぁ。
残念なのは、老いてからでしょうか。 SFX効果もそれほどでもなく。 若いんですよ。やっぱり。それがちょっとねぇ。
それよりも、レイフ・ファインズのほうが年上みたいで・・・。
映画としては、とても綺麗な撮り方だったと思うし、マイケルがアウシュビッツを訪れるシーンもなんか印象的だったし、マイケルとイラナが出会うシーン、そして当然の様に恋が生まれるところもよかったなぁ。 裁判の時のマイケルの表情はつらそうで、悩める部分が伝わってきました。
で、気になるのは、言葉。やっぱり英語っていうのは違和感を感じたなぁ。「ドイツ語のものはないの?」のを英語でいうのはどうなんだろうね。
最後によかったのは、予告編では、ken hirai のカバー曲がながれてましたが、それがなかったこと、これはよかったです。ほんと。
エンドロールが映画の内容をかみしめるにはいい感じでしたので、流れたら怒ってしまいそうでした。
【製作メモ】 from All Cinema ONLINE
原 題 THE READER
メディア 映画
上映時間 124分
製 作 国 2008年 アメリカ/ドイツ(COLUMBIA/MGM・UA)
公開情報 劇場公開(ショウゲート)
初公開年月 2009/06/19
ジャンル ドラマ/ロマンス/戦争
映 倫 PG-12
《公開時コピー》
愛は本に託された
監 督 : スティーヴン・ダルドリー
製 作 : アンソニー・ミンゲラ
シドニー・ポラック
ドナ・ジグリオッティ
レッドモンド・モリス
製作総指揮 : ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
原 作 : ベルンハルト・シュリンク
『朗読者』(新潮社刊)
脚 本 : デヴィッド・ヘア
撮 影 : クリス・メンゲス
ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:
ブリジット・ブロシュ
衣装デザイン: アン・ロス
編 集 : クレア・シンプソン
音 楽 : ニコ・ムーリー
出 演 : ケイト・ウィンスレット ハンナ・シュミッツ
レイフ・ファインズ マイケル・バーグ
デヴィッド・クロス 青年時代のマイケル・バーグ
レナ・オリン ローズ・メイザー/イラナ・メイザー
アレクサンドラ・マリア・ララ 若き日のイラナ・メイザー
ブルーノ・ガンツ ロール教授
※写真関係はあとで追記します。
※追記するとは思います。